
行政書士の事件簿に必須の記載事項|法定5項目+都道府県別の追加項目を完全整理【2026年版】
この記事の結論
事件簿の記載必須項目は、行政書士法第9条第1項が定める5項目(事件の名称・年月日・受けた報酬の額・依頼者の住所氏名・都道府県知事の定める事項)。最後の「都道府県知事の定める事項」は各都道府県の行政書士法施行細則で具体化されており、東京都の受託番号などの地域固有項目がある。自分の所属する都道府県会の細則を必ず一度確認すべきです。
「事件簿に何を書けば足りるのか」「都道府県によって追加項目が違うと聞いたが、どこで確認すればいいのか」――。事件簿の記載事項は法令と施行細則の二段構造になっており、漏れなく押さえるには情報源を分けて把握する必要があります。
本記事では、行政書士法第9条第1項の5項目を条文ベースで解説したうえで、都道府県施行細則による追加項目の代表例、任意で記載しておくと便利な項目、記載漏れの運用リスクまでを2026年版で網羅整理します。

行政書士法が定める5つの必須項目
行政書士法第9条第1項は次のように規定しています。
第9条 行政書士は、その業務に関する帳簿を備え、これに事件の名称、年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所氏名その他都道府県知事の定める事項を記載しなければならない。
出典: e-Gov 行政書士法
条文から導かれる必須記載項目は次の5つです。

| No. | 項目 | 内容 | 記入のポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | 事件の名称 | 受任した業務の種別と内容 | 業務種別+具体的内容(例: 建設業許可・新規・知事許可) |
| 2 | 年月日 | 受任日・完了日 | 両方記録(同日完了なら1日でOK) |
| 3 | 受けた報酬の額 | 報酬の金額 | 税込・税抜・実費の区別を明示 |
| 4 | 依頼者の住所氏名 | 個人/法人の正式名称と所在 | 法人は商号+本店所在地 |
| 5 | 都道府県知事の定める事項 | 各施行細則による追加項目 | 自分の所属都道府県を確認 |
各項目の具体的な記入例とNG例は行政書士の事件簿の書き方|記入例つきで法定要件をクリアする実務マニュアルで詳しく解説しています。
都道府県知事が定める追加項目(一覧表)

行政書士法第9条第1項の末尾「その他都道府県知事の定める事項」は、各都道府県の行政書士法施行細則によって具体化されています。所属する都道府県会によって追加項目が異なります。
代表的な追加項目の例(最新情報は各都道府県会で確認):
| 都道府県 | 追加項目の例 |
|---|---|
| 東京都 | 受託番号 |
| 大阪府 | 事件処理の結果(完了・中止・取下げ等) |
| 神奈川県 | 関連書類の保管場所 |
| その他多くの都道府県 | 領収書番号・進捗状況等 |
上表は代表的な例で、最新の施行細則の内容は所属する都道府県会への確認が確実です。
東京都の例(受託番号)
東京都行政書士会の指導では、事件簿に 受託番号 の記載が求められます。受託番号は事務所内で1件ごとに採番する管理番号で、「2026-001」のように年度+連番で付与するのが一般的です。
受託番号を付与することで、関連書類(委任状・申請書控え・領収書)との紐付けが容易になり、後日の検索・問い合わせ対応もスムーズになります。
大阪府の例
大阪府の施行細則では、事件処理の結果(完了・中止・取下げ等のステータス)の記録が求められる場合があります。完了した案件と進行中の案件、取下げた案件を区別できるよう、ステータス列を事件簿に追加しておくとよいでしょう。
自分の所属都道府県の確認方法
所属する都道府県の追加項目は、次の3つの方法で確認できます。
- 会員ポータル — 多くの都道府県会では会員専用ポータルで施行細則・配布様式が閲覧可能
- 事務局への問合せ — 電話・メールで直接問い合わせ
- 新人研修・倫理研修の資料 — 入会時の研修テキストに記載されている場合が多い
最も確実なのは、所属都道府県会から配布されている公式事件簿様式を使うこと。様式に既に追加項目欄が含まれているため、欄を埋めれば自動的に要件を満たせます。
任意で記載しておくと便利な項目
法定必須ではないが、実務運用で記載しておくと役立つ項目を整理します。

| 任意項目 | 用途 |
|---|---|
| 受託番号(東京都以外でも採用推奨) | 関連書類との紐付け |
| 進捗ステータス | 受任中・作成中・申請中・完了等の段階管理 |
| 担当者 | 複数人事務所での割振り管理 |
| 関連書類ファイルパス | 委任状・申請書・領収書のリンク |
| 入金日 | 報酬の入金確認とのつき合わせ |
| 想定報酬と実報酬 | 見積りとの差異把握 |
| 申請先・許可番号 | 行政庁・許可番号の控え |
| 顧客紹介元 | 営業ルートの分析 |
| 備考 | 特記事項・引継ぎメモ |
これらは事務所の運営方針によって取捨選択します。最低限「受託番号」「進捗ステータス」「備考」の3つを追加するだけで、後日の検索性とトラブル対応力が大きく向上します。
これらの任意項目をどこまで標準機能でカバーできるかは、行政書士HUBでできることを一覧で確認すると検討しやすくなります。
記載漏れがあった場合の運用リスク

事件簿の記載漏れは、法令違反であるだけでなく、実務運用で次の3つのリスクを引き起こします。
| リスク | 影響 |
|---|---|
| 行政書士会の調査・指導の対象 | 戒告等の懲戒処分のきっかけになる場合あり |
| 過去案件の参照不能 | 顧客からの再依頼・問い合わせに対応不可 |
| 税務申告との不整合 | 帳簿と申告内容の不一致で税務調査リスク |
過去案件で記載漏れを発見した場合は、気づいた時点で遡って正しく記入し、備考に「○年○月○日 追記」と記録します。隠したり放置したりするほうが、後の行政書士会調査時にリスクが大きくなります。
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まとめ

事件簿の記載事項は、法定5項目+都道府県施行細則の追加項目という二段構造で押さえます。
- 法定必須は行政書士法第9条第1項の5項目
- 「都道府県知事の定める事項」は各施行細則で具体化(東京都の受託番号等)
- 所属都道府県会の配布様式を使えば追加項目を自動的にカバーできる
- 任意項目(受託番号・進捗ステータス・備考等)の追加で運用効率が向上
- 記載漏れは行政書士会の調査・指導のリスクに直結
事件簿は「とりあえず書いておけばよい」ものではなく、所属する都道府県会の細則と運用要件を踏まえて設計すべき業務基盤です。年度初めに項目を見直す習慣をつけると、運用ブレを防げます。
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よくある質問
Q1. 法定5項目以外を記載するのは義務ですか。
A. 法定の必須は5項目で、それ以外は任意です。ただし都道府県施行細則で追加項目が定められている場合は、その項目も実質的に必須となります。所属都道府県会の様式と指導に従ってください。
Q2. 都道府県の追加項目はどこで確認できますか。
A. 所属する都道府県行政書士会の会員ポータル、配布されている公式事件簿様式、事務局への問合せのいずれかで確認できます。新人研修・倫理研修のテキストにも記載されているのが一般的です。
Q3. 受託番号は全国共通の決まりがありますか。
A. 全国共通の採番ルールはなく、事務所ごとに自由に採番できます。年度+連番(2026-001)や業務種別+連番(建設-001)など、所内で検索しやすい方式を採用してください。東京都の場合は事件簿への受託番号記載が指導されています。
Q4. 法人依頼の場合、担当者名も記載すべきですか。
A. 法定の「依頼者」は契約主体である法人(商号+本店所在地)です。担当者個人名は任意項目として備考欄に記録するのが一般的です。担当者は異動しますが、依頼者は契約主体で固定するのが原則です。
Q5. 記載項目を増やしすぎると運用が大変になりませんか。
A. 任意項目を増やすと入力負担が増える反面、後日の検索性とトラブル対応力が向上します。クラウド型業務管理ソフトを使えば、顧客マスタからの自動転記で入力負担を抑えながら項目数を増やせます。
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※本記事は2026年6月時点の一般的な情報提供を目的としています。個別事案の判断・最新の法令解釈・施行細則の詳細については、所属する都道府県行政書士会または法令の原典をご確認ください。
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