【2026年版】行政書士の事件簿とは?法定要件・記載事項・保存期間からクラウド管理まで完全ガイド
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【2026年版】行政書士の事件簿とは?法定要件・記載事項・保存期間からクラウド管理まで完全ガイド

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2026年6月3日29分で読める

この記事の結論

行政書士の事件簿は、行政書士法第9条で備付けが義務付けられた業務帳簿。法定の記載事項は5項目(事件の名称・年月日・受けた報酬の額・依頼者の住所氏名・都道府県知事の定める事項)で、帳簿閉鎖時から2年間の保存が必要。紙でもエクセルでもクラウドでも法的要件は満たせますが、複数人運用・期限管理・改ざん耐性まで含めるとクラウド型業務管理ソフトへの移行が合理的です。

「事件簿って何を書けばいいのか」「保存期間は何年が正解なのか」「紙とエクセルとクラウド、どれで管理すべきか」――。開業準備中の方からベテランの先生まで、事件簿の運用に迷うポイントは共通しています。

本記事では、行政書士法第9条が定める事件簿の法的要件を一次情報に基づいて整理したうえで、紙・エクセル・クラウドの3パターンの管理方法を比較し、2026年時点で実務に耐える運用方法を解説します。法令の事実引用と実務運用を1記事で網羅した、行政書士向けの事件簿ガイドです。

行政書士の事件簿完全ガイド
行政書士の事件簿完全ガイド

行政書士の事件簿とは(定義・法的根拠)

事件簿とは、行政書士が受任した業務の概要を時系列で記録する業務帳簿のこと。「事件」という言葉から刑事事件を連想されることがありますが、行政書士業務では「依頼を受けて処理した1件の業務案件」を指す業界用語です。建設業許可申請1件、相続関係説明図作成1件、それぞれが「事件」として事件簿に記載されます。

行政書士法第9条が定める帳簿備付義務

事件簿の法的根拠は、行政書士法第9条(帳簿の備付及び保存)です。条文は次の通り規定しています。

第9条 行政書士は、その業務に関する帳簿を備え、これに事件の名称、年月日、受けた報酬の額、依頼者の住所氏名その他都道府県知事の定める事項を記載しなければならない。 2 行政書士は、前項の帳簿をその関係書類とともに、帳簿閉鎖の時から二年間保存しなければならない。

出典: e-Gov 行政書士法

第1項で記載すべき項目(事件の名称・年月日・受けた報酬の額・依頼者の住所氏名・都道府県知事の定める事項)が、第2項で保存期間(2年間)が定められています。

規定内容出典
第9条第1項帳簿の備付と記載事項行政書士法
第9条第2項帳簿閉鎖時から2年間の保存行政書士法
詳細項目都道府県知事が定める事項(地域差あり)各都道府県施行細則

なお、条文の構造上「事件簿」という用語そのものは行政書士法には登場しません。「業務に関する帳簿」が法令上の呼称で、業界慣習として「事件簿」と呼ばれているのが実態です。

なぜ「事件簿」と呼ばれるのか(業界慣習)

行政書士が扱う業務は1件ごとに依頼者・処理内容・期間が独立しており、これを古くから「事件」と呼んできた歴史的経緯があります。日本行政書士会連合会や各都道府県会の配布様式・指導文書でも「事件簿」「事件名」という表記が定着しており、現在では業務帳簿の通称として広く使われています。

実務上は「業務台帳」「案件管理表」などと呼ぶ事務所もありますが、行政書士会の指導・調査時には「事件簿」の呼称で確認されることが多いため、所内のシステム上の呼称はどうであれ、行政書士会への対応書類では「事件簿」と表記しておくのが無難です。

違反した場合のリスク

事件簿の備付義務に違反した場合、行政書士法第14条の懲戒処分の対象となり得ます。具体的な処分は、戒告・2年以内の業務停止・登録抹消の3段階で、所属する都道府県行政書士会または都道府県知事による判断となります。

実際の処分事例では、事件簿不備のみで重い処分が下されるケースは多くありませんが、他の業務上の問題(守秘義務違反・名義貸し等)と併せて指摘されると重大化する傾向があります。日常的な事務所運営の信頼性を担保する基礎として、まず事件簿を整備しておくことが防御線になります。

事件簿に記載すべき5項目(早見表)

法令で定められた必須記載事項は次の5項目です。1件の業務ごとに、これらすべてを記録する必要があります。

事件簿の必須5項目
事件簿の必須5項目
必須項目内容記入例
事件の名称受任した業務の種別と内容建設業許可申請(新規・知事許可)
年月日受任日・完了日受任 2026-04-15/完了 2026-06-30
受けた報酬の額報酬額(消費税・実費の扱いも明示)200,000円(税別)/実費別
依頼者の住所氏名依頼者の正確な住所と氏名(法人名)東京都新宿区... 株式会社○○
都道府県知事の定める事項各都道府県施行細則で追加される項目受託番号(東京都の場合)等

事件の名称(業務種別の書き方)

「事件の名称」は、業務種別が第三者にも分かる程度の具体性が必要です。「許認可申請」「相続関係書類作成」だけでは曖昧で、「建設業許可申請(新規・知事許可・一般)」「遺産分割協議書作成」のように業務内容が特定できる記載が望ましい運用です。

複数の業務をパッケージで受任した場合は、主たる業務名+付随業務という形で記載するか、業務ごとに別行で記載するのが分かりやすい方法です。

受託・完了の年月日

受任日(依頼を承諾した日)と完了日(業務完遂日)の両方を記録します。長期化する案件では、進捗の中間段階を備考として残しておくと、後日の問い合わせや行政書士会の調査時に経緯を説明しやすくなります。

実務メモ

完了日は「行政庁への申請が受理された日」「許認可が下りた日」「依頼者へ成果物を引き渡した日」のいずれを基準にするか、所内ルールを統一しておくと記載漏れが防げます。一般的には依頼者への成果物引渡日を採用するケースが多い印象です。

受けた報酬の額(消費税・実費の扱い)

報酬の額は、税込・税抜の区別、実費(収入印紙・登録免許税等)の取扱いを明確にしておきます。1案件で着手金・残金を分けて受領した場合は、合計額または分割の内訳を記載します。

請求と入金のタイミングがずれた案件は、報酬額と入金日を分けて記録しておくと、税務申告時の整合性確認が容易になります。

依頼者の住所氏名

法人の場合は商号と本店所在地、個人の場合は氏名と住所を記載します。共同受任や代理人を介した受任の場合も、最終的な依頼者を正確に記録します。住所変更があった場合は、受任時点の住所と変更後の住所の両方を残しておくと連絡可否の判断材料になります。

都道府県知事の定める事項(地域差・東京都/大阪府の例)

行政書士法第9条第1項の末尾「その他都道府県知事の定める事項」は、各都道府県の行政書士法施行細則で具体化されており、所属する行政書士会によって追加項目が異なります。

東京都の例では「受託番号」(事務所内で1件ごとに採番する管理番号)の記載が求められるなど、地域固有の項目があります。自分の所属する都道府県会の細則・配布様式を必ず一度確認しておくことが必要です。

確認方法は、所属する行政書士会の会員ポータルまたは事務局への問合せが確実です。

事件簿の保存期間

事件簿の保存期間とインボイス・税法との関係
事件簿の保存期間とインボイス・税法との関係

行政書士法上の2年保存

行政書士法第9条第2項により、事件簿は 帳簿閉鎖の時から2年間 の保存が義務付けられています。「帳簿閉鎖の時」とは、一般的には年度単位で帳簿を区切るタイミングを指し、年度末(12月末または各事務所の事業年度末)からカウントするのが通例です。

例えば2026年12月末で閉鎖した事件簿は、2028年12月末まで保存する必要があります。

青色申告・インボイス保存との関係

注意したいのは、行政書士法上の保存期間(2年)は、税法上の帳簿保存義務とは別系統である点です。実際の事務所運営では複数の保存ルールが並列で適用されます。

根拠法令対象保存期間
行政書士法 第9条事件簿帳簿閉鎖時から2年
所得税法(青色申告)帳簿・決算関係書類7年
消費税法(インボイス)適格請求書の写し7年
電子帳簿保存法電子取引データ7年(タイムスタンプ等の要件あり)

事件簿そのものが税法上の「帳簿」に該当する場合は、税法上の7年保存に従う必要があります。実務上は、行政書士法の2年だけでなく税法の7年に合わせて運用する事務所が大半です。

迷う場合は「すべて7年保存」を統一ラインにしておくと、複数の法令要件を同時にクリアでき、後から年単位で分けて廃棄する手間も省けます。

事件簿の管理方法3パターン

紙・エクセル・クラウドの3パターン比較
紙・エクセル・クラウドの3パターン比較

実務上、事件簿の管理方法は次の3パターンに大別されます。

管理方法適する規模強み弱み
紙台帳個人事務所・案件数が少ない設備不要・改ざんしにくい検索困難・複数人共有不可
エクセル個人〜2名事務所安価・自由度高い同時編集に弱い・属人化
クラウド業務管理ソフト全規模・特に2名以上検索性・期限アラート・複数人対応月額費用・初期移行コスト

紙台帳(最も古典的・小規模事務所向け)

行政書士会で配布される様式や市販の帳簿に手書きで記入する方法です。設備投資が不要で、ITに不慣れな方でも始められる利点があります。一方で、過去案件を検索したり、複数人で同時に確認したりする運用には向きません。

案件数が月10件以下で1人運用の事務所であれば、紙台帳でも実務に支障は出にくいですが、それ以上の規模になると検索性・共有性の限界が顕在化します。

エクセル管理(中間段階・限界あり)

エクセルやGoogleスプレッドシートで事件簿テンプレートを作成し、案件ごとに行を追加する方法です。安価で柔軟な反面、複数人での同時編集に弱く、ファイルが壊れたり最新版が分からなくなったりするリスクがあります。

クラウド型業務管理ソフト(最新・複数人対応)

事件簿機能を含む業務管理ソフトをクラウドで利用する方法です。複数人での同時編集、過去案件の即時検索、期限アラートの自動化、スマホからの閲覧などが可能になります。

月額費用が発生する代わりに、紙やエクセルでは実現できない運用効率と改ざん耐性が得られます。2名以上の事務所・案件数が月20件を超える事務所では、投資対効果でクラウドが優位になるケースが大半です。

クラウド管理に移行するメリットと注意点

クラウド管理の効果イメージ
クラウド管理の効果イメージ

メリット(在宅・スマホ対応・自動記載・改ざん耐性)

クラウド型に移行することで得られる主なメリットは次の通りです。

  1. 在宅・出張先からのアクセス — 事務所PCに依存せず、自宅やクライアント先から事件簿を確認・更新できる
  2. スマホ対応 — 移動中の隙間時間に進捗を更新でき、後でPCに入力し直す手間がなくなる
  3. 自動記載 — 顧客情報や受任日を別画面で入力すれば、事件簿欄に自動転記される設計が多い
  4. 改ざん耐性 — 編集履歴がシステムに残り、誰がいつ何を変更したかを追跡できる
  5. 期限アラート — 許認可の更新期限・申請期限が近づくと自動通知される機能を備えるソフトが多い

これらの効果により、事務作業時間が月10〜20時間削減できたという声も少なくありません。

注意点(ベンダー選定・データ移行・運用ルール)

クラウド化には準備が必要です。次の3点に留意すると、移行後の運用が安定します。

  1. ベンダー選定 — 行政書士業界に特化したサービスか、汎用CRMの行政書士向け設定か。料金プラン・契約期間・解約条件を必ず確認
  2. データ移行 — 既存のエクセル・紙台帳からの移行計画。一括移行か、移行期と並走運用か
  3. 運用ルール — 誰がいつ何を入力するか、所内ルールを文書化しておく

導入直後は紙やエクセルとの並走期間(1〜3ヶ月)を設けると、業務を止めずに切り替えられます。

主要ツール比較(買切型 vs クラウド型)

主要事件簿ソフトの比較
主要事件簿ソフトの比較

2026年時点で、行政書士の事件簿管理に使える主要ツールを中立的にまとめます。

ツール形態料金目安強み弱み
俺の事件簿買切型ソフト49,500円(買切)行政書士業界特化・買切で長期低コストPCインストール型・複数人共有はネットワーク設定が必要
ワイズ事件簿作成システム買切型ソフト数万円〜行政書士向け・帳票出力に強いクラウド対応は限定的
行政書士HUBクラウド型業務管理月額2,980円〜事件簿+顧客管理+案件進捗+請求まで一体・複数人対応月額課金・買切型より長期総額が高い場合あり
自作エクセル自作無料完全カスタマイズ可能同時編集・期限管理・検索性に限界

ツール選定では、事務所規模・利用人数・予算・必要機能の優先順位で判断します。

事件簿だけでなく業務全体を効率化したい場合

行政書士HUBは事件簿の自動記載に加え、顧客管理・案件進捗・許認可期限アラート・請求書発行まで1つのシステムに集約。事件簿の整備をきっかけに事務所全体の運営を効率化できます。

よくある質問

Q1. 事件簿は紙でも電子でも構いませんか。

A. 行政書士法第9条には記録媒体の指定がないため、紙でも電子でも法的要件は満たせます。ただし電子保存する場合は、電子帳簿保存法のタイムスタンプ・検索性要件にも留意が必要です。クラウド型業務管理ソフトの多くはこの要件を考慮した設計になっています。

Q2. 事件簿の保存期間は何年ですか。

A. 行政書士法上は帳簿閉鎖の時から2年間です。ただし税法(青色申告で7年)やインボイス制度(適格請求書7年)と並行運用する必要があるため、実務上は7年保存を統一ラインにする事務所が一般的です。

Q3. 事件簿に記載漏れがあった場合のリスクは何ですか。

A. 行政書士会の調査・指導の対象となり、悪質な場合は行政書士法第14条の懲戒処分(戒告・業務停止・登録抹消)の根拠の1つになり得ます。日常的に記載漏れがないよう、受任時・完了時に必ず記録するルールを所内で徹底することが重要です。

Q4. クラウドで管理する場合の法的要件は満たせますか。

A. はい、満たせます。行政書士法第9条は記録媒体を限定しておらず、電子帳簿保存法の要件(タイムスタンプ・検索性・改ざん防止)を踏まえたクラウドサービスであれば、法的要件をクリアした運用が可能です。所属する行政書士会の最新指針も併せて確認してください。

Q5. 事件簿と税法上の帳簿は別ですか。

A. 別系統の法令ですが、内容が重複する部分(受任日・報酬額・依頼者氏名等)があります。実務上は事件簿と税務帳簿を1つの業務管理システムに統合し、用途に応じて出力する運用が効率的です。

まとめ

行政書士の事件簿は、行政書士法第9条で備付けが義務付けられた業務帳簿で、5つの必須記載項目と2年間の保存期間が定められています。

  • 法的根拠は行政書士法第9条(第1項=記載5項目/第2項=2年保存)
  • 記載必須項目は5つ(事件の名称・年月日・報酬の額・依頼者の住所氏名・都道府県知事の定める事項)
  • 保存期間は2年だが、税法・インボイスとの統合運用で7年保存が安全ライン
  • 紙・エクセル・クラウドのいずれも法的要件は満たせる
  • 2名以上の事務所・月20件以上の案件数ではクラウド型が投資対効果で優位

事件簿の整備は、単なる法令遵守を超えて、事務所運営の透明性と引き継ぎ可能性を支える基礎です。事務所の規模と将来計画に合わせて、無理のない管理方法を選びましょう。


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※本記事は2026年6月時点の一般的な情報提供を目的としています。個別事案の判断・最新の法令解釈・施行細則の詳細については、所属する都道府県行政書士会または法令の原典をご確認ください。

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