
【2026年版】職務上請求書の適正使用・保管|購入から事故対応までの事務所運用
職務上請求書は、用紙だけを施錠保管しても足りず、受任事件、使用者、請求先、使用日、控え、所在を追える状態にする必要があります。請求できる場面を案件ごとに確認し、購入から使用、控えの保存、返戻、事故対応までを一続きの管理にすることが適正使用の出発点です。用紙番号と事件の対応が切れると、棚に現物があっても使用理由や取得物を説明できません。
この記事では、行政書士事務所が職務上請求書を扱う際の確認項目を、使用前、使用後、棚卸し、事故時の順に整理します。法令や日本行政書士会連合会の規則が定める事項と、事務所が自主的に設ける承認・点検手順は区別して示します。個別案件では、受任内容と請求目的を戸籍法・住民基本台帳法の要件に照らし、所属する行政書士会の案内も確認してください。
結論:職務上請求書は案件と一対一で追跡する
職務上請求書は、資格者に一律の調査権を与える用紙ではありません。受任事件・事務と必要性を先に確かめ、購入番号、事件、使用者、請求先、控え、所在、点検日という7点を一つの記録で追います。
職務上請求が使える場面と使えない場面
戸籍法第10条の2は、行政書士または行政書士法人が、受任した事件・事務の業務遂行に必要な場合に戸籍謄本等を請求できる枠組みを定めています。請求時は資格、業務の種類、依頼者の氏名・名称、利用目的などを明らかにする必要があり、依頼を受けているという事実だけで使用できるわけではありません。
日本行政書士会連合会の規則第5条も、必要な職務上請求に限り、職務外や人権侵害のおそれがある使用を認めていません。案件名だけで決めず、対象者、請求先、取得する証明、利用目的が受任範囲に結び付くかを個別に判定します。
出典: 戸籍法(第10条の2)、日本行政書士会連合会「職務上請求書の適正な使用及び取扱いに関する規則」(第5条)
購入から返戻までの管理早見表
管理は、購入・受領時に用紙番号と保管場所を登録し、払出し時に事件と使用者を結び、使用後に控えと取得物を照合する流れです。未使用、使用中、使用済み、書損、持出し中、返戻済みという状態を用意し、どの状態にも責任者と所在を持たせます。状態変更のたびに日付と確認者を残せば、現物と記録の差を早く発見できます。
登録の取消し・抹消、行政書士法人の解散、所定の処分など規則第15条の事由が生じた場合は、未使用または一部使用済みの用紙を速やかに返戻します。通常の保管だけでなく返戻まで管理範囲に含め、行政書士の法定義務まとめとは根拠規定を分けて記録してください。

使用前に受任事件と請求目的を確認する
払出し前には、受任を示す案件記録と請求書へ記載する事実を照合します。利用可否の判断者と、用紙を記入・使用する行政書士を明確にし、未確認のまま現物を持ち出さない手順にします。
依頼内容・対象者・請求先を照合する
使用前の確認票には、依頼者、受任事件・事務、対象者、必要な証明、請求先、利用目的を記録します。住民票の写し等では、住民基本台帳法第12条の3により、特定事務受任者である行政書士等が、受任事件・事務について依頼者が要件を満たし、請求が相当と認められるかを確認する枠組みです。
請求者、対象者、利用目的、資格・業務、依頼者などを具体的に示せる状態にし、いずれかが曖昧なら払出しを止めます。相続、許認可などの案件分類は入口にすぎず、取得する証明が今回の業務遂行に必要かを一件ずつ確かめてください。
出典: 住民基本台帳法(第12条の3)

使用者と承認者を分けて記録する
規則第6条では、個人開業の行政書士または行政書士法人が、本人・法人やそれぞれの使用人行政書士以外に職務上請求書を使用させることを禁じ、請求先へ赴く使者は届出済みの補助者に限っています。補助者へ移動を任せる場合も、使用可否の判断や請求書の使用まで委ねた記録にせず、使用者、使者、持出し時刻、返却予定を区別します。
事務所内の承認者は、法令上の請求主体に代わる者ではなく、必要性や記載内容を確認する運用上の担当です。規則第8条に従い、虚偽記載を避け、全欄を具体的に記載し、記載要領と請求先からの照会への誠実な回答まで確認項目にします。

行政書士HUBなら、払出し前の確認項目、使用者、承認者、持出し予定を案件に結び付け、未確認の用紙を見つけやすくできます。承認待ちの理由も同じ記録で追えます。
使用後は控え・原本・取得物を照合する
請求後は、控えを綴じるだけで完了にしません。用紙番号を軸に、事件簿、使用済み控え、請求先から取得した証明、依頼者への利用結果を相互に確認します。
番号、使用日、事件、取得結果を残す
使用記録には、用紙番号、使用日、事件識別情報、使用者、請求先、取得した証明と結果を残します。規則第12条は、受任事件に職務上請求書を使用したとき、その払出し番号を事件簿へ記載するよう定めているため、別台帳だけに番号を置かず事件簿からもたどれる状態が必要です。
取得できなかった場合も記録を消さず、不交付、取下げ、再請求など実際の結果と次の対応を追記します。行政書士の事件簿記載義務で法定帳簿の位置付けを確認し、用紙管理台帳との役割を混同しないでください。
未使用・書損・返戻を同じ台帳で管理する
未使用や書損の用紙も、使用済みと同じ番号系列で管理し、番号だけが一覧から消える状態を避けます。書損は再利用せず、発生日、理由、処理後の所在、確認者を記録し、次の用紙へ移った経緯を残します。規則第10条が禁じる譲渡・貸与との区別も明確にし、他事務所へ一時的に回さない運用にします。
規則第13条により、使用済み職務上請求書の控えは2年間保存します。この保存は行政書士法第9条の事件簿保存とは別の規則に基づくため、起算や対象を一つの欄にまとめず、事件簿の作成・保存ガイドと照合して管理してください。

紛失・盗難・未返戻を予防し初動を決める
事故対応は、発見してから連絡先を探すのでは遅れます。定期棚卸しで差異を検出し、紛失・盗難や第三者使用のおそれが分かった時点の連絡、証拠保全、再発防止を事前に決めます。
棚卸しと持出し確認を定期化する
規則第11条は、盗難、紛失、毀損を防ぐための適正な管理を求め、使用人行政書士や補助者の行為について個人開業の行政書士または行政書士法人が責任を負うと定めています。月次など事務所で決めた周期で、保管場所の現物番号と台帳を照合し、未使用、使用中、持出し中、書損、返戻済みの合計が購入記録とつながるかを確認します。
持出し時は用紙番号、事件、使用者または使者、行先、持出し時刻、返却予定を記録し、返却時に控えと取得物を照合します。施錠やアクセス権限の考え方は行政書士事務所の情報セキュリティも参照し、紙と電子記録を同じ担当者・点検日で管理してください。

事故時の連絡・保全・再発防止を記録する
規則第14条により、盗難または紛失時は、速やかに所属する単位会へ報告するとともに、発生場所を管轄する警察署へ盗難届または遺失物届を提出します。第三者による不正使用を知った場合や、そのおそれがある場合も速やかな報告が必要です。事故番号、判明日時、対象用紙、最終確認、届出先、受付情報を一つの記録にします。
初動では関係記録の変更を止め、台帳、持出し記録、事件記録、保管場所の確認結果を保全します。その後、原因を未返却、記録漏れ、保管逸脱などの事実で整理し、担当、期限、再点検日を決めて再発防止まで追跡してください。
行政書士HUBなら、棚卸しの差異と事故記録を元の用紙・事件へつなぎ、連絡状況と再点検を同じ案件管理で追えます。未完了の初動も一覧で確かめられます。
職務上請求書の管理に関するよくある質問
職務上請求書の運用で迷いやすい4点を、受任行政書士が確認する順に答えます。業務名だけで利用可否を決めず、用紙、事件、使用者、取得物が対応しているかを確かめてください。
相続案件なら常に職務上請求できますか?
相続案件という名称だけで常に使用できるわけではありません。戸籍法第10条の2や住民基本台帳法第12条の3が定める受任事件・事務との関係、依頼者の要件、請求の相当性、取得する証明と利用目的を個別に確認します。
使用前に依頼内容、対象者、請求先、必要な証明を照合し、業務遂行に必要であることを具体的に説明できないときは払出しを止めます。相続業務の案件管理も参照し、相続人調査という大きな目的から今回の請求目的までを事件記録へつないでください。
補助者に取り扱わせるときは何を決めますか?
補助者については、職務上請求書を使用する者ではなく、規則第6条に基づく届出済みの使者として扱う範囲を明確にします。対象用紙、事件、請求先、持出し時刻、返却予定、受渡し方法を決め、行政書士による使用判断と記載確認を補助者へ移しません。
規則第11条を踏まえ、監督する行政書士と、返却時に控え・取得物・現物を確認する担当者も記録します。持出し中の連絡方法や事故時の報告先まで事前に共有し、単なる「外出中」という状態で所在を管理しないことが重要です。
書損した用紙はどう記録しますか?
書損した用紙は記録から削除せず、用紙番号、書損日、理由、発見者、確認者、処理後の所在を残します。再使用したことにせず、次に払い出した番号との関係も記録すれば、購入した番号の連続性と現物の所在を後から説明できます。
訂正や処理の方法は日本行政書士会連合会の規則、記載要領、所属する行政書士会の案内に従います。所属会への確認日と回答内容も記録します。事務所独自の判断で廃棄せず、棚卸しでは書損を独立した状態として数え、未使用や使用済みへ混ぜないでください。
控えと事件簿はどう照合しますか?
用紙の払出し番号を共通キーにして、控えから事件識別情報へ、事件簿から使用した用紙へ双方向にたどれるかを確認します。控えには請求日、請求先、対象者、利用目的を、事件側には依頼者、受任内容、払出し番号を対応させ、取得物の所在も同じ確認単位へ含めます。
規則第12条の事件簿への払出し番号記載と、第13条の控え2年間保存は別々に点検します。月次棚卸しでは番号の有無だけでなく、記載内容が当該事件と一致するか、保存対象が所定の場所にあるかまで確認してください。
まとめ:用紙・事件・使用者・取得物をつなぐ
職務上請求書の適正管理は、施錠された用紙棚だけでは完成しません。使用前に受任事件と請求目的を判定し、使用時に番号・使用者・請求先を残し、使用後に控え・事件簿・取得物を照合します。未使用、書損、持出し、返戻、事故も同じ番号系列で追えば、所在不明を早期に見つけられます。
控えの2年間保存と盗難・紛失時の報告・警察署への届出は、日本行政書士会連合会の規則に基づく事項であり、行政書士法第9条の事件簿保存と混同しないことが重要です。法令上の請求主体と事務所内の確認担当を区別し、個別案件ごとの利用可否を記録へ残してください。
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