【2026年版】行政書士の法人化|メリット・要件・手続き
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【2026年版】行政書士の法人化|メリット・要件・手続き

2026年7月4日18分で読める

この記事の結論

行政書士法人は、年間利益が800〜1,000万円を超えて所得税の累進負担が重くなった段階で検討するのが一般的な目安です。法人化には節税・社会保険への加入・対外的な信頼性向上・複数事務所展開といったメリットがある一方、社会保険料の事業主負担や毎年の決算申告コストが新たに発生します。2021年6月4日施行の改正行政書士法で社員1名でも設立できるようになり、一人事務所でも法人化のハードルは下がりました。設立登記の登録免許税は非課税で、株式会社より設立コストを抑えられます。

「一定の規模になったら法人化を考えたい」という行政書士の先生は多くいます。法人化には節税・信頼性向上・社会保険加入などのメリットがある一方、設立費用・維持コスト・社員行政書士の要件など、個人事務所と異なる制約も生じます。

本記事では、行政書士法人の定義・メリットとデメリット・法人化の要件と手続き・法人化後の業務管理について解説します。

この記事の情報について: 法人化の要件・税制・社会保険の詳細は制度変更が生じる場合があります。具体的な検討の際は、税理士・社会保険労務士・管轄の行政書士会にご確認ください。

行政書士法人とは——個人事務所との根本的な違い

行政書士法人の定義

行政書士法人は、行政書士法第13条の3に規定された法人形態です。行政書士法人制度は2003年(平成15年)の行政書士法改正で創設され、2004年(平成16年)8月1日に施行されました(それ以前は行政書士事務所を法人化できませんでした)。

株式会社や合同会社などの一般的な法人と異なり、行政書士法人は以下の条件があります。

  • 社員(出資者)全員が行政書士でなければならない(行政書士法第13条の5)
  • 社員が1名(一人法人)でも設立可能 (2021年6月4日施行の改正行政書士法による。改正前は社員2名以上が必要だった)
  • 「行政書士法人○○」という名称を使用する(行政書士法第13条の4)
  • 都道府県行政書士会に法人として入会する

出典: e-Gov法令検索 行政書士法(昭和26年法律第4号)第13条の3〜第13条の5

個人の行政書士事務所は行政書士個人が業務を行いますが、行政書士法人は法人として業務を受任します。複数の事務所を設置する場合、各事務所に社員行政書士を配置する必要があります。

個人事務所・行政書士法人の比較

項目個人事務所行政書士法人
法的主体行政書士個人法人(法人格あり)
設立費用不要登録免許税は非課税。定款認証手数料・諸手数料の実費(別途、専門家に依頼する場合は報酬)
社会保険任意(国民健康保険・国民年金)強制加入(健康保険・厚生年金)
事業承継代表者交代で事実上廃業・再開業社員変更で継続可能
複数事務所1か所のみ複数の事務所設置が可能
最低社員数1名(行政書士個人)1名でも設立可(2021年6月施行の改正後)
個人事務所と行政書士法人の比較表
個人事務所と行政書士法人の比較表

法人化のメリット・デメリット

法人化の主なメリット

1. 節税効果(所得税→法人税への転換)

個人事業の所得税は累進課税で、所得が高くなるほど税率が上がります(最高45%+住民税10%)。法人の場合、法人税の実効税率は概ね20〜30%程度(中小法人の場合)に抑えられるため、年収が一定以上になると法人化による節税効果が生まれます。

一般的に「年間利益が800〜1,000万円を超えたあたりで法人化を検討する」と言われますが、家族への役員報酬支払い・退職金制度の活用・経費の範囲拡大なども含めて税理士と試算することをおすすめします。

2. 対外的な信頼性の向上

「行政書士法人○○」という名称は、個人事務所より法人格がある分、企業クライアントからの信頼を得やすいです。特に大手企業・上場企業との取引では、法人形態を求められるケースがあります。

3. 社会保険への加入

法人化すると、代表者も健康保険・厚生年金に加入できます。個人事業では国民健康保険・国民年金しか選べないのに対して、厚生年金の方が将来の年金受給額が高くなる点でメリットがあります。

4. 複数事務所の設置

行政書士法人は複数の事務所を設置できます(各事務所に社員行政書士の配置が必要)。地域展開や業務拡大を考えている場合に有利です。

法人化の4つのメリット
法人化の4つのメリット

法人化のデメリット

1. 設立・維持コストの発生

行政書士法人の設立登記は登録免許税が非課税のため、株式会社の設立(登録免許税15万円〜)よりも設立コスト自体は抑えられます。ただし公証人による定款認証の手数料・日本行政書士会連合会への届出手数料に加え、登記手続きを司法書士等に依頼する場合はその報酬が発生します。また法人として毎年決算申告が必要になり、税理士報酬(年間15〜30万円程度)が追加コストになります。

2. 社会保険料の増加

社会保険への強制加入は、受給面でのメリットがある一方、事業主負担分(保険料の約半分)が発生します。役員報酬が月額50万円の場合、社会保険料の事業主負担は年間80〜100万円程度になります。

3. 事務・管理の煩雑化

法人としての帳簿作成・社会保険・給与計算など、個人事務所では不要だった事務が増えます。外注(税理士・社労士への委託)で対処できますが、その分の費用が発生します。

法人化の3つのデメリット
法人化の3つのデメリット

法人化の要件と手続き

法人設立の要件

行政書士法人を設立するための主な要件は以下です(2026年現在)。

  • 社員全員が行政書士であること(非行政書士は社員になれない)
  • 社員が1名(一人法人)でも設立が可能(2021年6月施行の改正による。社員は全員が行政書士であること)
  • 法人の名称は「行政書士法人○○」(行政書士法人の文字を使用しなければならない)

手続きの流れ

行政書士法人の設立手順の概要は以下の通りです。

  1. 定款の作成: 法人名・目的(行政書士業務)・所在地・社員の氏名等を定款に記載
  2. 定款認証: 公証人による定款認証を受ける(行政書士法人は会社法の定款認証の規定を準用するため、株式会社と同様に認証が必要。なお定款への印紙税4万円は不要)
  3. 法務局への登記申請: 設立登記申請書・定款・社員の資格証明書類等を提出
  4. 行政書士会への変更届: 個人会員を廃止し、法人として入会

なお、具体的な手続き・必要書類・審査期間は都道府県行政書士会によって異なります。事前に管轄の行政書士会に問い合わせることを強くおすすめします。

行政書士法人の設立手続き4ステップ
行政書士法人の設立手続き4ステップ

法人化後の業務管理

法人としての案件管理と事件簿の記録

個人事務所と同様に、行政書士法人も行政書士法第9条に基づく事件簿の記録義務があります。ただし、複数の社員・従業員が業務を行う法人では、誰が何の案件を受任したかを組織として管理する仕組みが必要になります。

行政書士の業務管理システム徹底比較では、複数担当者が使えるクラウド型の業務管理ツールを比較しています。

法人化後の経営体制の整備

法人化は「節税の手段」ですが、法人化をきっかけに経営体制を整備するタイミングでもあります。

  • 役員報酬の設定(税負担と手取りのバランスを税理士と試算する)
  • 社会保険の手続き(年金事務所への届け出)
  • 就業規則・給与規程の整備(スタッフを採用する場合)
  • 業務管理システムの導入(複数担当者が情報を共有できる体制)

行政書士事務所の経営を安定させる方法では、法人化を含む事務所経営の全体像を解説しています。

まとめ

行政書士の法人化は「稼いでいる行政書士が税金対策のために行う」というだけでなく、信頼性向上・複数事務所展開・社会保険加入など経営上の戦略的な意味を持ちます。

法人化を検討する目安:

  • 年間利益が800〜1,000万円を超えた
  • 大手企業クライアントとの取引で法人格が求められている
  • 複数事務所を設置して事業を展開したい
  • スタッフを採用し社会保険に加入させたい

法人化は税理士・社労士との連携が不可欠です。「法人化すべきか・するなら時期は」について専門家に試算してもらってから判断することを強くおすすめします。法人化は一度行うと個人事業に戻すコストが高いため、節税額と維持コストの試算を慎重に行うことが大切です。また法人化後は業務量が増える傾向があるため、業務管理システムの整備も合わせて検討することをおすすめします。法人化後の許認可期限管理や案件管理の効率化については、行政書士HUB(月額2,980円)のようなクラウド型の業務管理システムが有効です。

法人化を検討する4つの目安
法人化を検討する4つの目安

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よくある質問

Q1. 一人で行政書士法人を作れますか。

A. 2021年6月4日施行の改正行政書士法により、社員が1名でも行政書士法人を設立できるようになりました。以前は社員2名以上が必要でしたが、改正により一人法人の設立が可能になりました。

Q2. 法人化するといくら節税になりますか。

A. 所得・役員報酬の設定・家族への給与・退職金の積み立て方針によって大きく変わります。「年間利益が800万円を超えたら法人化を検討」が一般的な目安ですが、必ず税理士に個別試算を依頼してください。

Q3. 法人化の手続きはどのくらいかかりますか。

A. 定款認証から登記完了まで、通常1〜2ヶ月程度です。行政書士会への手続きを含めると合計2〜3ヶ月を見込んでおくことをおすすめします。都道府県行政書士会によって手続き方法が異なるため、事前に確認してください。


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