
【2026年版】行政書士の報酬相場と料金設定|業務別の目安と決め方
この記事の結論
行政書士の報酬は自由化されており、一律の規定額はなく各事務所が自由に設定します。相場の目安は日本行政書士会連合会が公表する報酬額の統計で確認できますが、これは会員アンケートの集計値であり「適正価格」ではありません。実際の料金は、業務ごとの標準工数に自分の目標時間単価を掛けて原価から組み立て、統計値を参考に上下させるのが現実的な決め方です。安すぎる報酬は採算と品質の両方を損なうため避けるべきです。
「この許認可、いくらで受けるべきか」。開業まもない行政書士ほど、報酬の値付けで悩みます。同業者に聞いても「人による」と返ってくるばかりで、明確な基準が見つからない、という声をよく耳にします。
報酬の相場が分かりにくいのには理由があります。行政書士の報酬は法律で決まっているわけではなく、各事務所が自由に設定するからです。だからこそ、相場の正しい読み方と、自分の事務所に合った料金設定の手順を知っておく必要があります。
この記事では、行政書士の報酬相場と料金設定について、報酬が自由化された前提、日行連の統計の正しい読み方、原価と時間単価から料金を組み立てる考え方、見積の実務、そして継続報酬への広げ方までを順に解説します。
行政書士報酬は自由化されている(規定額なし)
行政書士の報酬は自由化されており、各事務所が自由に設定します。かつては会則で報酬額の基準が定められていた時期もありましたが、現在は一律の規定額は存在しません。同じ「建設業許可申請」でも、事務所によって報酬が大きく異なるのはこのためです。
自由である以上、値付けの責任は各事務所にあります。高くても安くても、それを選ぶのは事務所自身です。逆に言えば、「相場どおりにしなければならない」という縛りもありません。提供する価値と自分のコスト構造に合った価格を、自分で決められるということです。
報酬の相場感を知る公的な手がかりとして、日本行政書士会連合会(日行連)が会員アンケートに基づく報酬額の統計を公表しています。これは全国の会員が実際に受けている報酬額を集計したもので、業務別に低額・最頻値・高額などの分布が分かります。
ただし、この統計はあくまで「実際に受けている金額の集計」であって、「この金額が適正」と国が定めたものではありません。統計を相場の参考にしつつ、最終的な価格は自分で組み立てる、という姿勢が前提になります。

主要業務別の報酬目安
行政書士が扱う業務は1万種類を超えるとも言われ、難易度も所要時間も大きく異なります。まずは代表的な業務について、報酬の幅と難易度のイメージを早見表で整理します。
下表の金額は日行連の報酬額統計や一般的な相場感をもとにした概算の目安であり、確定額ではありません。実額は地域・難易度・付随業務の有無で変わります。
| 業務 | 報酬の目安(円) | 難易度・所要の特徴 |
|---|---|---|
| 各種許認可の更新申請 | 3万〜8万 | 定型的。書類が揃えば短時間 |
| 建設業許可(新規・知事) | 10万〜18万 | 要件確認・証明書類が多く中程度 |
| 飲食店営業許可 | 4万〜7万 | 図面・現地要件の確認が必要 |
| 内容証明・契約書作成 | 2万〜5万 | 1件あたりの所要は短い |
| 遺言・相続関係書類 | 5万〜15万 | ヒアリングと調整に時間がかかる |
金額の幅が広いのは、同じ業務名でも案件ごとに作業量が違うからです。たとえば許認可の更新申請でも、必要書類が揃っている顧客と、ゼロから収集が必要な顧客では工数が数倍違います。
ここで注意したいのが業務範囲の線引きです。行政書士は官公署に提出する許認可申請や契約書類の作成を担いますが、法人の設立登記そのものは司法書士、税務申告は税理士、雇用関係助成金や労務手続きは社会保険労務士、訴訟代理は弁護士の業務です。値付けの前に、自分が受けられる範囲を正確に切り分けることが欠かせません。
更新業務のように単価は低くても件数が積み上がる業務は、許認可の期限を取りこぼさず管理できるかで採算が変わります。行政書士HUBは許認可の種別を問わず期限を登録でき、自動リマインドで更新の見落としを防ぎます。業務効率化の具体策は行政書士の業務効率化ガイドでも詳しく解説しています。

料金設定の考え方(原価・時間単価から組み立てる)
相場を眺めるだけでは、自分の事務所に合った価格は決まりません。料金設定の出発点は「自分の時間にいくらの値をつけるか」という時間単価です。ここでは原価から積み上げる考え方を紹介します。
まず目標とする年間の売上と、稼働できる時間を決めます。たとえば年間の目標売上を600万円、実際に業務に充てられる稼働を年1,500時間と置くと、目標時間単価は4,000円になります。この単価が、すべての業務の値付けの土台になります。
次に、業務ごとの標準工数(その業務を1件こなすのに平均何時間かかるか)を出します。標準工数に時間単価を掛けたものが原価ベースの最低ラインで、ここに専門性・責任・付随作業の価値を上乗せして提示価格を決めます。下表は行政書士HUBの設計・運用に基づく自社調べの目安です。
| 業務例 | 標準工数の目安 | 時間単価4,000円での原価 | 提示価格の目安 |
|---|---|---|---|
| 許認可の更新申請 | 4〜6時間 | 1.6万〜2.4万円 | 3万〜5万円 |
| 建設業許可(新規) | 25〜35時間 | 10万〜14万円 | 12万〜18万円 |
| 契約書の作成・チェック | 3〜5時間 | 1.2万〜2万円 | 3万〜5万円 |
提示価格が原価を下回ると、受ければ受けるほど赤字になります。逆に、原価より十分に高く設定できていれば、忙しさが利益に直結します。時間単価という物差しを持つだけで、「この案件は受けるべきか」「値引きの限界はどこか」を即座に判断できるようになります。
工数の精度を上げるには、案件ごとの実作業時間を記録して振り返ることが近道です。標準工数の前提が崩れていないかを定期的に見直すと、値付けは年々正確になっていきます。

見積・報酬提示の実務
価格の方針が固まったら、それを顧客に正しく伝える見積の実務が重要になります。報酬は自由である分、何にいくらかかるのかを明確に示さないと、後々のトラブルや値引き交渉の温床になります。
見積では、基本報酬と実費(登録免許税・証紙代・交通費など)を必ず分けて記載します。実費を報酬に混ぜると、顧客は割高に感じやすく、こちらも利益が見えにくくなります。「報酬は10万円、別途実費9万円」と分けて示すほうが、双方にとって明朗です。
追加作業が発生しやすい業務では、見積の前提条件を明記しておきます。たとえば「必要書類が顧客側で揃っている場合の金額です。収集代行が必要な場合は別途1件あたり○○円」といった具合に、想定外の工数を吸収できる構えを作っておきます。
| 見積で分けて示す項目 | 内容の例 |
|---|---|
| 基本報酬 | 申請書類の作成・提出代行 |
| 実費 | 登録免許税・証紙代・郵送費 |
| 追加報酬(条件付き) | 書類収集代行・急ぎ対応・現地調査 |
提示のタイミングも採算を左右します。着手前に書面で見積を交わし、合意を得てから作業に入るのが原則です。口頭の概算で進めると、完了後に「そんな金額は聞いていない」となりがちです。見積・請求の履歴を顧客ごとに残しておけば、価格の一貫性も保てます。開業時の体制づくりは行政書士の開業完全ガイドも参考になります。

単発から継続報酬へ広げる
単発の申請業務だけに頼ると、売上は毎月ゼロから積み上げ直しになります。事務所経営を安定させる鍵は、一度きりの報酬を継続的な報酬へ広げることです。
許認可業務は継続報酬と相性が良い分野です。建設業許可なら5年ごとの更新、毎年の決算変更届、経営事項審査など、取得後にも定期的な手続きが続きます。新規申請のときに「更新と毎年の届出もまとめて顧問契約で承ります」と提案すれば、月額や年額の安定収入につながります。
たとえば月額1万円の顧問契約を20件持てば、それだけで月20万円・年240万円の固定収入になります。新規案件の波に左右されにくくなり、価格競争からも距離を置けます。継続契約は、目先の単価よりも事務所の体力を底上げする投資だと考えると分かりやすいでしょう。
継続報酬を回すうえで欠かせないのが、顧客ごとの期限管理です。更新月や届出時期を取りこぼせば、継続どころか信頼を失います。顧客・案件・許認可期限・請求までを一元管理し、期限が近づいたら自動でリマインドされる仕組みがあれば、少人数でも多くの継続契約を抱えられます。独立後の事務所運営の全体像は行政書士の独立完全ガイドにまとめています。
まとめ
行政書士の報酬相場と料金設定の要点を整理します。
- 報酬は自由化されており、一律の規定額はなく各事務所が自由に設定する
- 相場は日行連の報酬額統計で確認できるが、これは集計値であって適正価格ではない
- 料金は目標時間単価×標準工数で原価を出し、統計を参考に提示価格を決める
- 見積では基本報酬と実費を分け、追加作業の前提条件を明記する
- 単発業務を更新・顧問の継続報酬へ広げると、経営が安定する
値付けは「相場に合わせる」のではなく「自分のコストと価値から組み立て、相場で答え合わせをする」もの。この順序を押さえれば、安売りに陥らず、納得感のある報酬を堂々と提示できるようになります。

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よくある質問
Q1. 行政書士の報酬は誰が決めるのですか。
A. 各事務所が自由に決めます。報酬は自由化されており、国や行政書士会が定める一律の規定額はありません。提供する価値とコストに応じて、事務所ごとに設定します。
Q2. 報酬額の相場はどこで分かりますか。
A. 日本行政書士会連合会が会員アンケートに基づく報酬額の統計を公表しており、業務別の分布を確認できます。ただし集計値であって適正価格を示すものではないため、参考値として扱ってください。
Q3. 料金はどう決めればよいですか。
A. 目標売上と稼働時間から時間単価を出し、業務ごとの標準工数を掛けて原価を算出します。その原価に専門性や責任分の価値を上乗せし、統計の相場と照らして提示価格を確定するのが現実的です。
Q4. 安すぎる報酬には何か問題がありますか。
A. あります。原価を下回る価格で受けると、件数が増えるほど赤字になり、時間に追われて品質も下がります。値引きで集めた顧客は価格でしか比較しないため、継続にもつながりにくい傾向があります。
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