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【2026年版】犯罪収益移転防止法と行政書士|取引時確認の実務
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【2026年版】犯罪収益移転防止法と行政書士|取引時確認の実務

2026年10月3日23分で読める

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【2026年版】犯罪収益移転防止法と行政書士|取引時確認の実務

行政書士の取引時確認は、すべての受任に同じ対応をするのではなく、まず特定受任行為と特定取引への該当性を判定して進めます。受任内容の判定、顧客等の確認、確認記録と取引記録等の作成・保存、疑わしい取引への対応は、目的と時点が異なります。受任時の入口で順番を決め、誰が判断したかを残すと、所内の対応を見直しやすくなります。

犯罪による収益の移転防止に関する法律と関係する政令・省令は、対象となる行政書士・行政書士法人自身に義務を定めています。本記事は受任時の確認順を整理するものであり、個別の取引の該当性や届出の要否は、現行法令、日本行政書士会連合会の手引き、必要に応じた専門家への確認に基づいて判断してください。

行政書士自身の義務として取引時確認を捉える

行政書士の取引時確認は、受任内容が特定受任行為の代理等に当たるか、特定取引に当たるか、除外条件があるかを順に確認します。確認の対象になった場合は、顧客等の情報を確認し、確認記録と取引記録等についてそれぞれの要件・時点を満たす必要があります。通常の顧客・案件の記録は、法定記録を自動的に置き換えるものではありません。

判定段階主に確認する内容義務を負う者記録・保存の確認点例外を確かめる順番
受任内容特定受任行為の代理等か行政書士・行政書士法人受任内容と判定の根拠業務内容を特定する
特定取引契約締結等が対象か行政書士・行政書士法人取引時確認の結果政令上の除外を確認する
顧客等の確認個人・法人・代表者の区分行政書士・行政書士法人確認記録を直ちに作成確認済み顧客の条件を確認する
取引の記録特定受任行為の代理等の実施行政書士・行政書士法人取引記録等を直ちに作成少額等の除外を確認する
疑わしい取引確認結果と取引の態様行政書士・行政書士法人判断経路と連絡の取扱い守秘義務に係る事項を確認する
行政書士が受任時に取引時確認を判定する全体図
行政書士が受任時に取引時確認を判定する全体図

特定事業者として対応する受任場面を確認する

犯罪による収益の移転防止に関する法律第2条第2項は、行政書士または行政書士法人を特定事業者に含めています。行政書士・行政書士法人が取引時確認を行う場面は、同法の特定業務のうち政令で定める特定取引等を行うときです。したがって、受任があっただけで全件を同じ結論にするのではなく、まず依頼内容を法令上の特定受任行為の代理等に照らして特定します。受任範囲を整理する観点は行政書士の法定義務ガイドも参考になります。

本人確認・取引時確認・二種類の記録を分ける

本人確認という日常的な表現と、法令上の取引時確認、確認記録、取引記録等は分けて考えます。同法第4条第1項は、特定取引に際して、本人特定事項、取引目的、自然人の職業または法人の事業内容、法人の場合の実質的支配者に関する事項を確認することを定めています。取引時確認を行った場合には確認記録を作成し、特定受任行為の代理等を行った場合には取引記録等の作成が問題になります。誰が、どの受任について、どの確認・記録を行うかを別欄にすると、顧客名だけの記録で判断を終えることを避けられます。

対象となる受任を順番に判定する

対象となる受任は、業務分野の名称だけで決めず、実際に依頼された行為・手続と契約の内容から判定します。特定受任行為の代理等に当たるかを確認した後、特定取引か、政令や省令上の除外があるかを順に確認します。例外を先に当てはめて結論を急がないことが重要です。

特定受任行為・特定取引・除外条件を順に確認する図
特定受任行為・特定取引・除外条件を順に確認する図

特定受任行為と特定取引を業務内容から確認する

特定受任行為の代理等と特定取引は、依頼書の表題ではなく、行政書士が受任する行為・手続の内容から確認します。日本行政書士会連合会の手引きは、行政書士の特定業務として、宅地・建物の売買や会社の設立・合併に関する行為・手続などを例示しています。どの行為を代理または代行する契約なのか、財産の管理・処分に係るか、誰との契約かを案件ごとに記録します。行政書士の業務範囲自体を確認する際は行政書士の業際判定も参照してください。

200万円以下の除外が適用される範囲を限定する

200万円以下の除外は、すべての行政書士業務やすべての特定取引に使える基準ではありません。犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令第9条第1項は、行政書士の特定受任行為の代理等のうち、財産の管理または処分に係る類型について、当該財産の価額が200万円以下のものを特定取引から除くと定めています。同条第2項は、価額を下げるために一つの契約を分割したものと一見して明らかな複数契約は、一つの契約とみなす扱いも定めます。会社設立等を含む他の受任へこの除外を一般化せず、義務を負う行政書士・行政書士法人が受任内容と例外を個別に確認します。

顧客と取引の情報を確認する

顧客と取引の情報は、個人・法人・代表者等の区分に応じて確認項目を切り替えます。確認する項目は、単に本人を識別する情報だけではなく、取引目的、職業または事業内容、法人の場合の実質的支配者に及びます。確認方法や記録すべき事項は関係省令にも定められるため、所内の確認票は現行の法令・案内と照合して使います。

個人・法人・代表者で確認対象を切り替える

個人・法人・代表者で確認対象を切り替えるのは、法第4条が顧客等の区分ごとに本人特定事項を定め、代表者等が取引の任に当たるときにはその自然人についても確認を求めているためです。自然人では氏名・住居・生年月日、法人では名称・本店または主たる事務所の所在地が本人特定事項とされます。法人の代表者等が実際に取引を行う場合は、法人の確認だけで完了にせず、代表者等に関する確認も行います。誰が顧客等で、誰が実際に取引を担当する者かを案件ごとに分けて記録してください。

個人・法人・代表者ごとに確認対象を切り替える図
個人・法人・代表者ごとに確認対象を切り替える図

取引目的・職業・事業内容・実質的支配者を確認する

取引目的・職業・事業内容・実質的支配者は、対象となる取引時確認で、義務を負う行政書士・行政書士法人が確認する項目です。法第4条第1項は、自然人の職業、法人の事業内容、法人に実質的支配者があるときの本人特定事項も挙げています。確認記録の作成方法や記録事項は施行規則第19条・第20条に定められており、確認の方法や書類の特定に関する事項も関わります。所内では、受任の判定担当と、顧客等への確認を実施する担当、記録を確認する担当を分け、未確認の項目を受任判断の完了にしないようにします。

記録・保存・疑わしい取引を所内運用する

記録・保存・疑わしい取引に関する所内運用では、確認記録と取引記録等を同じ保存起算点にせず、判断経路も別にします。通常の案件管理は受任前の状態や担当を把握する補助になり得ますが、法定の確認記録・取引記録等そのものを代替するものではありません。法令上の記録は、求められる項目・方法・保存をそれぞれ確認します。

確認記録と取引記録の保存起算点を分ける

確認記録と取引記録等は、義務を負う行政書士・行政書士法人、作成時点、保存起算点、例外を分けて確認します。法第6条は取引時確認を行った場合に確認記録を直ちに作成し、特定取引等に係る契約が終了した日その他省令で定める日から7年間保存すると定めます。施行規則第21条は確認記録の保存期間の起算日を定め、施行令第9条の取引では契約終了日が取引終了日となります。これに対し法第7条は、特定受任行為の代理等を行った場合に、少額の財産の処分の代理など政令で定める除外を除き取引記録等を直ちに作成し、その行われた日から7年間保存すると定めます。

確認記録と取引記録を分けて整理する図
確認記録と取引記録を分けて整理する図

守秘義務と併せて所内の判断経路を決める

疑わしい取引に関する所内の判断経路は、対象となる特定受任行為の代理等を扱う行政書士・行政書士法人が、取引時確認の結果と取引の態様その他の事情を踏まえて判断するために整えます。法第8条第2項は、犯罪収益である疑いなどがあると認められる場合に速やかな届出を定める一方、行政書士法第12条により漏らしてはならない事項が含まれる場合を例外としています。同条第4項は、届出を行おうとすることまたは行ったことを顧客等や関係者に漏らしてはならないと定めます。受付担当、確認担当、判断責任者、記録の確認先を決め、個別の届出要否は現行法令と専門的な確認に基づいて判断します。

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確認・記録・保存・判断の所内分担を示す図
確認・記録・保存・判断の所内分担を示す図

行政書士の取引時確認に関するよくある質問

すべての依頼で取引時確認が必要ですか?

すべての依頼に取引時確認が必要とは、一律にはいえません。行政書士・行政書士法人は、受任内容が特定受任行為の代理等に当たるか、特定取引に当たるか、政令・省令上の除外があるかを順に確認します。依頼者が既存顧客であることだけを理由に確認を省略するのではなく、法第4条第3項が定める確認済み顧客に関する条件を満たすかも確認します。受任内容、判断した日、確認した法令・案内、判断担当を案件ごとに残してください。

200万円以下なら取引時確認は不要ですか?

200万円以下なら取引時確認が不要と一般化することはできません。施行令第9条第1項の除外は、行政書士の特定受任行為の代理等のうち、財産の管理または処分に係る類型で当該財産の価額が200万円以下のものに限られます。会社設立など他の受任へそのまま当てはめず、義務を負う行政書士・行政書士法人が特定受任行為・特定取引・除外条件を個別に判定します。契約を分割して価額を下げたものと一見して明らかな場合は、施行令第9条第2項の扱いにも注意が必要です。

事件簿で確認記録を代用できますか?

事件簿があることだけで、犯罪による収益の移転防止に関する法律の確認記録を代用できるとはいえません。事件簿と確認記録は根拠法令、目的、記録事項、作成時点、保存の考え方が異なるためです。取引時確認を行った行政書士・行政書士法人は、法第6条と施行規則に従い、確認記録に必要な事項・方法・保存を別に満たす必要があります。事件簿の記録を参照する場合も、確認記録の要件を満たすかを現行法令に照らして確認してください。

顧客台帳で法定記録を代用できますか?

顧客台帳だけで法定記録を代用できるとはいえません。顧客台帳は顧客や案件の連絡・進行を把握するための記録であり、確認記録・取引記録等は犯罪による収益の移転防止に関する法律に基づく別の記録です。対象取引で取引時確認を行った場合は確認記録を、特定受任行為の代理等を行った場合は取引記録等を、それぞれの要件に従って作成・保存します。情報の管理方法は行政書士事務所の情報管理、書類の受払は職務上請求書の受払管理も参考になります。

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  • 顧客管理:顧客台帳(法人・個人)・連絡先や関係者の管理
  • 案件・書類管理:案件の登録ウィザードと書類テンプレートの一括適用
  • 許認可・期限管理:許認可台帳(種別・有効期限)と期限リマインドの自動メール
  • 業務帳簿(事件簿):案件・顧客・請求から自動集計し、CSV・A4紙面で出力
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まとめ|対象判定から所内判断までを一つの流れにする

行政書士の取引時確認は、特定受任行為の代理等、特定取引、例外の順に判定し、顧客等の区分に応じて確認を行う流れです。確認記録と取引記録等は作成時点と7年間の保存起算点が異なるため、同じ記録として扱いません。疑わしい取引では守秘義務に係る例外と非開示の扱いも含め、判断経路を整えたうえで現行法令に基づき個別に対応します。

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関連記事: 行政書士の法定義務ガイド、行政書士事務所の情報管理、行政書士の業際判定

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