
【2026年版】行政書士の会社設立サポート業務|定款作成・電子定款の実務
この記事の結論
行政書士の会社設立サポート業務は、定款の作成と電子定款の認証手続きが中心です。設立登記の申請そのものは司法書士の業務であり、行政書士は登記を代理できません。一方、電子定款を使えば紙の定款で必要な収入印紙4万円が不要になり、依頼者の初期コストを抑えられます。さらに設立後の建設業許可や古物商許可などへ自然につなげば、単発の設立案件を継続的な顧問・許認可案件へ発展させられます。
会社設立の相談を受けたとき、「どこまで自分が対応できるのか」「登記は誰がやるのか」で迷う行政書士の先生は少なくありません。定款は作れるのに登記は代理できない、という士業ごとの線引きは、依頼者に説明する場面でもつまずきやすいポイントです。
この記事では、行政書士が会社設立で担える範囲、定款作成・電子定款認証の実務、印紙税4万円を抑える仕組み、設立後の許認可連携、そして料金設定と他士業との連携までを実務目線で整理します。電子定款の運用に踏み出したい先生が、最短で全体像をつかめる構成にしました。
会社設立で行政書士が担える範囲(登記は司法書士)
会社設立は複数の士業がかかわる手続きで、行政書士が担えるのは「設立登記より前の書類作成」が中心です。具体的には、定款の作成、電子定款の認証サポート、各種設立書類の作成が行政書士の業務範囲に含まれます。
一方で、法務局に対する設立登記の申請代理は司法書士の独占業務です。行政書士は登記申請書を依頼者の代理人として提出できないため、登記が必要な段階では司法書士へ引き継ぐか、依頼者本人が申請する形になります。税務署への設立届出や税務相談は税理士、社会保険・労働保険の手続きは社労士が担います。
下の早見表は、会社設立にかかわる主な士業の担当範囲を整理したものです。
| 工程 | 主な担当 | 行政書士の関与 |
|---|---|---|
| 定款の作成・電子定款認証 | 行政書士 | 中心業務 |
| 設立登記の申請 | 司法書士 | 関与不可(独占業務) |
| 設立後の税務届出・顧問 | 税理士 | 関与不可 |
| 社会保険・労働保険手続き | 社労士 | 関与不可 |
| 設立後の許認可申請 | 行政書士 | 中心業務 |

この線引きを最初に依頼者へ伝えておくと、「登記まで全部やってくれると思った」という認識のずれを防げます。行政書士は定款と許認可で価値を出し、登記は司法書士と連携する、という役割を明確にすることが信頼につながります。
定款作成・電子定款認証の実務
定款は会社の基本ルールを定める書類で、株式会社の場合は公証役場で認証を受ける必要があります。行政書士はこの定款の作成と、公証人による認証手続きのサポートを担います。
実務の流れは、おおむね次の順序で進みます。各ステップは依頼者へのヒアリングと公証役場との事前確認がかみ合うとスムーズです。
| ステップ | 内容 | 主なポイント |
|---|---|---|
| 1. ヒアリング | 商号・事業目的・資本金・役員構成を確認 | 事業目的は許認可要件と整合させる |
| 2. 定款案の作成 | 絶対的記載事項を漏れなく記載 | 商号・目的・本店所在地・出資額など |
| 3. 公証役場への事前確認 | 定款案を公証人に確認してもらう | 修正指示を反映してから認証へ |
| 4. 電子定款の作成・認証 | PDF化して電子署名を付与し認証 | 印紙税4万円が不要になる |
事業目的の記載は、設立後の許認可と直結します。たとえば建設業を営む予定なら、定款の目的に建設業に関する記載がないと、後の建設業許可申請で目的変更の登記が追加で必要になることがあります。設立段階で将来の許認可を見据えた目的設計をしておくことが、行政書士ならではの付加価値です。

定款認証の手数料は、資本金の額に応じて公証役場で発生します。認証手数料そのものは依頼者の実費であり、行政書士の報酬とは別に説明しておくと精算時のトラブルを避けられます。顧客管理の観点で案件情報を整理したい場合は、行政書士向け顧客管理ソフトの選び方もあわせて確認すると、設立案件の進捗を取りこぼさず管理できます。
電子定款で印紙税4万円を抑える仕組み
電子定款は、紙の定款をPDF化して電子署名を付与し、オンラインで認証を受ける方式です。この方式の最大のメリットは、紙の定款で必要な収入印紙4万円が不要になることです。
紙の定款は印紙税法上の課税文書にあたり、収入印紙4万円を貼付する必要があります。一方、電子定款は紙の文書ではないため印紙税の対象外となり、印紙代がかかりません。出典: 日本公証人連合会(電子定款)。
下の比較表は、紙の定款と電子定款のコスト差を整理したものです。依頼者にメリットを説明する際にそのまま使える内容です。
| 項目 | 紙の定款 | 電子定款 |
|---|---|---|
| 収入印紙(印紙税) | 4万円が必要 | 不要 |
| 定款認証手数料 | 資本金額に応じて発生 | 同左 |
| 必要な設備 | なし | 電子署名・PDF作成環境 |
| 依頼者の負担 | 印紙代がそのまま上乗せ | 印紙代分を圧縮できる |

電子定款を扱うには、PDFへの電子署名環境やオンライン申請の準備が必要です。一度環境を整えれば、依頼者の初期コストを4万円圧縮できる提案ができるため、設立サポートの競争力に直結します。報酬を紙の定款より高めに設定しても、依頼者の総額負担は下がるケースが多く、価格と価値の両立がしやすい領域です。
設立後に必要な許認可へつなぐ
会社設立は、行政書士にとって設立後の許認可案件への入り口になります。設立して終わりではなく、その会社が事業を始めるために必要な許認可へつなぐことで、案件を継続的な関係に発展させられます。
たとえば建設業を営む会社なら建設業許可、中古品を扱うなら古物商許可、飲食業なら飲食店営業許可、運送業なら一般貨物自動車運送事業の許可が必要です。これらは設立直後に動き出す案件が多く、設立を担当した行政書士が引き続き対応するのが自然な流れです。
| 設立する会社の事業 | 設立後に必要な主な許認可 | 担当 |
|---|---|---|
| 建設業 | 建設業許可 | 行政書士 |
| 中古品売買 | 古物商許可 | 行政書士 |
| 飲食業 | 飲食店営業許可 | 行政書士 |
| 運送業 | 一般貨物自動車運送事業許可 | 行政書士 |
ここで自社の運用データを共有します。行政書士HUBの設計・運用に基づく自社調べの目安では、会社設立から設立後許認可(建設業許可・古物商など)への連携案件は、設立だけの単発案件に比べて、初動から許可取得までの標準工数がおおむね1.5〜2倍に増える一方、報酬総額もそれに見合って増える傾向があります。設立段階で許認可を見据えた定款設計をしておくと、後工程の手戻りが減り、工数の増加を抑えやすくなります。

許認可には更新期限が伴うものが多く、建設業許可は5年ごとの更新が必要です。設立から許認可、さらに更新まで一貫して管理できると、依頼者にとって離れがたい存在になります。行政書士HUBは許認可の種別を問わず期限を登録でき、自動リマインドで更新の見落としを防ぎます。設立案件を起点に許認可・更新まで面で管理したい先生に向いた仕組みです。複数の業務管理ツールを比較したい場合は、行政書士向け業務管理システムの比較も参考になります。
料金設定と他士業(司法書士・税理士)連携
会社設立サポートの料金は、定款作成・電子定款認証を中心に、依頼者の実費(認証手数料・登録免許税など)と切り分けて設定するのが基本です。報酬と実費を明確に分けて提示すると、見積りの透明性が高まります。
電子定款を扱える事務所は、紙の定款より印紙代4万円分を依頼者が圧縮できる点を価格の根拠にできます。報酬を相応に設定しても依頼者の総額負担は下がるため、価格交渉がしやすい構造です。料金提示の際は、登記費用(登録免許税・司法書士報酬)が別途かかることも事前に伝えておきます。
他士業との連携は、設立案件の質を左右します。役割分担を整理すると次のとおりです。
| 連携先 | 引き継ぐ工程 | 連携のタイミング |
|---|---|---|
| 司法書士 | 設立登記の申請 | 定款認証の完了後 |
| 税理士 | 税務届出・設立後の顧問 | 設立登記の完了後 |
| 社労士 | 社会保険・労働保険手続き | 従業員を雇用する段階 |
連携先をあらかじめ確保しておくと、依頼者を「たらい回し」にせずワンストップに近い体験を提供できます。連携で生まれた案件情報や顧客の関心領域を一元管理すれば、紹介の往来が次の案件につながります。これから事務所を立ち上げる先生は、行政書士の開業完全ガイドで連携先づくりや業務基盤の整え方を確認しておくとよいでしょう。
まとめ
行政書士の会社設立サポートの要点を整理します。
- 行政書士が担えるのは定款作成と電子定款認証が中心で、設立登記の申請は司法書士の独占業務
- 電子定款なら紙の定款で必要な収入印紙4万円が不要になり、依頼者の初期コストを圧縮できる
- 定款の事業目的を将来の許認可と整合させておくと、設立後の手戻りを防げる
- 設立を起点に建設業許可・古物商許可などへつなぎ、更新まで管理すると継続案件化しやすい
会社設立は単発で終わらせず、設立後の許認可・更新まで一貫して管理することで、行政書士の価値が最大化します。

行政書士HUBで案件・許認可期限を一元管理
行政書士HUBは、顧客情報・案件進捗・許認可期限・請求書までをクラウドで統合管理できる業務管理システムです。許認可の種別を問わず期限を登録でき、自動リマインドで更新の見落としを防ぎます。Mac・スマホ対応で場所を選びません。
月額2,980円 (6名以上・1〜5名は4,980円/税込)から、14日間の無料トライアルで全機能をお試しいただけます。
初期費用30,000円(税込)・契約期間の縛りなし
よくある質問
Q1. 会社設立で行政書士に頼める範囲はどこまでですか。
A. 定款の作成と電子定款の認証サポート、各種設立書類の作成が中心です。設立登記の申請は司法書士の独占業務のため行政書士は代理できず、税務届出は税理士の担当となります。設立後の建設業許可や古物商許可などの許認可申請は、再び行政書士の業務範囲です。
Q2. 電子定款のメリットは何ですか。
A. 最大のメリットは、紙の定款で必要な収入印紙4万円が不要になることです。電子定款は紙の文書ではないため印紙税の対象外となり、依頼者の初期コストを圧縮できます。報酬を相応に設定しても総額負担を下げやすく、価格と価値を両立しやすい点も利点です。
Q3. 行政書士に設立登記まで頼めますか。
A. 設立登記の申請代理は司法書士の独占業務のため、行政書士は登記を代理できません。実務では、行政書士が定款認証まで担い、その後の登記を司法書士に引き継ぐ形が一般的です。連携先の司法書士を確保しておくと、依頼者にワンストップに近い体験を提供できます。
Q4. 設立後に必要な許認可にはどのようなものがありますか。
A. 事業内容によって異なります。建設業なら建設業許可、中古品売買なら古物商許可、飲食業なら飲食店営業許可、運送業なら一般貨物自動車運送事業の許可が代表例です。これらは設立直後に必要になることが多く、設立を担当した行政書士が続けて対応するのが自然です。
関連記事
まずは無料で製品を体験してください
顧客管理・案件管理・許認可期限管理・行政書士専用書式の帳票出力をこれ1つで。
月額2,980円から。


